nuts blog

ドイツで踊るバレエダンサー 夏生のブログ

ツアー in シンガポール part 2

 

こんにちは(^^)

 

前回に引き続き、シンガポールのこと。

今回はシンガポールでの仕事内容についてです☆

 

1日目はドイツからの長いフライトでこれから始まる一週間の為、ダンサー達の体力のことも考えてみんなそれぞれ休日でした。

私は午後から、シンガポールをベースで活動しているカメラマンさんと撮影をしてきました。




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初めての屋外撮影。カンカン照りの中汗だくになりながら(^^;

ですがカメラマンさんが撮影ついでに観光スポットもちょくちょく見せて廻って下さったので有意義な時間を過ごさせて頂きました。

まだ写真は編集中ということなので出て上がり次第また投稿させて頂きます(^^)

 

長い1日を終え、翌日からはメインのお仕事スタート。

 

1週間私達のホームシアターとなった場所はマリーナベイサンズがあるエリア内のエスプラネード・シアターズ・オン・ザ・ベイ!!!

 


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左側のドームのような建物です。

 

奥にももう1つ同じようなドーム型の建物があり、繋がっているんです。

とっても大きな劇場でした(^^)

スタジオもガラス張りになっていて目の前はマリーナベイサンズ。普段ドイツでは窓もないスタジオでのリハーサルなので、初めてここまでとっても開放的な空間でのお仕事、ダンサー達もみんな気合いが入ります。

 



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(リハーサル前のウォーミングアップの時の1コマ)

 

 

初日はスタジオ内で丸1日リハーサル、翌日は午前中はいつも通り、そして夜は早速舞台上で、ゲネプロ。私達のバレエ団は、ホームシアター、ツアー中関係なくゲネプロのときには現地新聞やネットに向けて撮影の為沢山のメディアの方々がいらっしゃいます。

そして翌々日から2日間の本番です。

 

今回シンガポールで上演した作品はフォーサイスというバレエ界のレジェンドでもある振付家の作品。中でも "In the middle somewhat elevated"はバレエをやっている人なら一度は必ず見たことがあるだろう、緑色のレオタード、黒タイツのみの衣装の作品です。

あのシルヴィ・ギエムの為にフォーサイスが作った、女性6人、男性3人のみの作品ですね。

私達のバレエ団、この作品にはとても力を入れていて、ある意味ここのバレエ団のシンボル的存在の作品。

というのもバレエマスター(いわゆる先生)がダンサー時代フォーサイスの下でメインとして直々に踊っていた方が2人、彼の振付家アシスタントとして世界中でフォーサイス作品を教えに行っていたのです。

ラッキーなことに、そのような方々の下で私も昨シーズンからこの作品の中のメインの1人として踊らせて頂いています。m(_ _)m

 

ただ私、今まで16年間のバレエ人生、この作品以上に大変な作品に出会ったことがありません(^^;

作品自体は30分弱という決して長くはない作品なのですが、動きのスタイルが他のバレエとは全くの別物なのです。

踊り終えた後はフルマラソン完走後のようで 身動きが取れなくなる程です。

ですが舞台はまた別のシーンへと続きます。

この作品を踊ったダンサーは疲労困憊しながらもマグネシウムや砂糖を採り、また次の作品へ。

 

結論、舞台は2日間共に大成功でした。

 

ですがここでこの作品を通して、今までのツアーを通して、ヨーロッパやアメリカ・カナダ圏とアジアの違いが...

アジアって"フォーサイス"という作品、名前だけしか知らないという人が多いんです。

簡単に言うと、ヨーロッパやアメリカ・カナダになると フォーサイスを上演するというとみんな "あの作品をやるの!それなら見に行きたい!"となり、毎回チケットは売り切れ状態。

ですが、アジアの場合はコテコテのクラシックバレエ(いわゆる白鳥の湖、眠れる森の美女、くるみ割り人形...バレエをやっていなくても一度は耳にしたことのある作品だと思います。) しか見に行かないという人が多く、そして、舞台初日は隣でシンガポールで人気な歌手の方のライブがあったらしく....正直、初日のチケット状態は良いとは言えませんでした。

これがアジアバレエの最大の弱点。

どんなに有名でアジア人でも知っている作品でも見に行こうと思うのはコテコテのクラシック作品のみ...

日本に関しては 世界中の色々なバレエ団がツアーで日本に行きたいと言うものの、受け入れが少ないんです。

コテコテのクラシック、そして世界5本指に入るバレエ団のみが日本に行ける。

ですがそれをやっていると日本のバレエって本当に視野が狭いままなんですよね。

どんどん世界レベルから離れていく...

 

今のバレエ、時代は勿論変化しています。世界的にコテコテのクラシックバレエ以外にもネオクラシックバレエ、モダンバレエ、も踊れなければ決してプロにはなれません。特に日本人の場合...

だから日本人ってネオクラシックバレエやモダンバレエにそもそも興味をもたない。

それは生でそれぞれの良い作品を見る機会がないからなんですね。

一言で言う、食わず嫌い。

そこは日本に限らず、アジアのバレエ界これから変えていかないといけないぞ、という課題です。

 

話は逸れましたが、初日は客席状況は決して良いとは言えないものの、最後にはスタンディングオベーション、反響はとても良いものでした。

知らない分野のバレエを見て感動する。そして こんなに良い作品だったんだ、という話が広まる。

そしてそれを聞いて興味をもった人が次の舞台に足を運びます。

翌日、舞台2日目の客席状況は初日とは打って変わって、舞台上から見える空席は僅かでした。

そして最後はスタンディングオベーション。

改めて、自分にとって新しい物を見ること、視野を広げることの大切さを実感しました。

 

今回のツアーを通して感じたこと。

たった2日間の舞台でこれだけ目に見えて客席層に変化があったように、私達がこうやって少しずつアジア圏に新しい物を発信していくことで興味をもつ人が増え、そこからアジアのバレエ界がもっと変わっていくこと、そしてこの変化を自分達のバレエを通して実感したい...!

その中の1人として携わって行けたらいいな、とまた1つの夢ができました(^^)

 

そしてこの媒体を通して感謝したいこと、新しい物を受け入れようとしてくださったシンガポールのバレエ関係者様、劇場に足を運んで下さった方々、そして新しい場所に踏み込んでいくチャンスを下さったバレエ団、心から感謝感謝です..(^^)

 


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長くなりましたが今回はこの辺で。

ありがとうございました(^^)

 

 

( Instagram: @natsuki.26_ )